
Live Report
2004年4月21日(水) 渋谷 B.Y.G
Set List
1. Maria Elena-Estrellita
2. Armadillo Rhumba
3. Slow Wind
4. St. Domingo ocean Blvd.
5. 星くず
6. What You Name
7. 陽のあたるところへ
8. Sea cruse
9. Willin'
10. Zydeco Train
11. Texas Bronco
12. Walk With Me
Encore
13. Sleep Walk
14. Jammbaruya
「ウェルカム・バック、洋ちゃん」 藤田洋介&ミラクルトーンズのライヴの終演後、思わずこうした思いが胸をよぎった。いまからもう25年以上も前のことになるが、久保田真琴と夕焼け楽団のギタリストとしてぼくをノックアウトした藤田洋麻が、藤田洋介としてリスタートし自身のユニット「ミラクルトーンズ」での活動を開始したのが一昨年のこと。時を同じくして、オレンジ・カウンティ・ブラザーズのリユニオン・ライヴではサポートメンバーとしてステージに立った。もちろん、それまでも音楽活動は継続させてはいたが、ここ数年の洋ちゃんのフレキシブルな活動に驚かされたのは、けっしてぼくだけではないだろう。
そうした活動の一つの成果としてリリースされたのが、ミラクルトーンズ名義でのデビュ−・アルバム『ハッピー・アワー』だ。全編に響き渡る洋ちゃんの充実したグルーヴィーなギター・プレイが本当に素晴らしいアルバムであり、「これから」を期待するに充分なクオリティを誇っているのがうれしかった。
そんな藤田洋介&ミラクルトーンズがライヴも積極的に展開しているとの話を聞き、これは是非足を運ばねばなるまいと思っていた。チャンスは案外と早く訪れた。4月21日、初夏の陽気を思わせる暑さが東京を包んでいる中、日本のフィルモアとも言うべき渋谷B.Y.Gで洋ちゃんたちのライヴが行われたのだ。そしてそのライヴは、アルバム以上にミラクルな演奏が繰り広げられ、集まった熱心なファンの大きな歓声を浴びていた。
まったりとした「マリア・エレナ」で始まり、『ハッピー・アワー』の収録曲を中心としたステージは予想以上にバンドとしてのサウンドを聞かせてくれた。洋ちゃんと、オレンジ・カウンティの飯田雄一をはじめとしたメンバーとの信頼関係から成る絶妙なコンビネーションは、緩急自在なサウンド展開を見せ、きらびやかな極上のインストゥルメンタルを聞かせてくれた。ライヴの中盤では、「星くず」「陽のあたる
ところへ」といった夕焼け楽団時代のレパートリーをはじめ、飯田雄一とのデュエッ トがご機嫌だったドン&ジュアンの「ホワッツ・ユア・ネーム」や、フランキー・フォードの「シー・クルーズ」などのロックンロール・クラシック、リトル・フィートの「ウイリン」までも飛び出し、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさが
溢れていた。
もちろん、洋ちゃんのギターのよく歌うことは特筆モノであったし、「うまい」「へた」というテクニック的な次元を超えたプレイは、清々しくもありなんとも爽快であった。いくら練習を重ねても表現することができぬ「滋味」に満ち満ちたフレジングは70年代的な感覚を残しながらも、そのドライブ感はまさしくオン・タイムのものであったし、なによりも年齢を重ねながらも元気にプレイする洋ちゃんの姿が、本当にうれしかった。アルバム同様、これからの洋ちゃんの活動が楽しみに思えた一夜であった。
Text by 福原武志